旧観慶丸商店

【レポート】生きつづける石巻のたてもの展 まちあるきツアー

「生きつづける石巻のたてもの展」の会期終了がせまる7月18日(日)に、企画展の関連イベントである「まちあるきツアー」が開催されました。「まちあるきツアー」は2年前に開催した特別展「まちかどの近代建築写真展〜タイルに出会う旅〜」以来となります。
今回のアテンダントは震災直後から石巻での活動を通してまちの方々との交流をつづけている東京工業大学准教授の真野洋介さん。研究室の学生さんにもスタッフとしてお手伝いしていただきました。

ツアーは13時に旧観慶丸商店を出発し、アートギャラリーであるキワマリ荘の前をとおって秋田屋さんへ。
この日の石巻は梅雨明け直後ということで、お天気にも恵まれました。

秋田屋さんでは持ち主の浅野さんに庭園や蔵のお話をしていただきました。

浅野さんによると、母家のなかは夏でも涼しいとのこと。母家には湿気を外に出す仕掛けもあり、むかしの人の知恵を感じました。
庭園は木に囲まれていて日陰になっていたため、参加者のみなさんは散策したり、こけしがならんでいる蔵の内部を見学したりと思い思いの時間を過ごしていました。

続いて、立町商店街を通ってカフェ蓮へ。大正時代のたてものをリノベーションしたカフェ連は農家出身のパティシエが営む人気店です。

古いたてものを生かしたカフェは、むかしの技術を知ることができるとともに、とても落ち着いた時間を過ごすことができますよね。

続いての目的地である割烹滝川へは裏道を通って向かいました。途中、中央一丁目に新たにできる複合エンターテインメント施設の準備作業の現場に遭遇しました。こちらでも使われなくなったのたてものを生かした新しい取り組みが始まろうとしていました。

割烹滝川到着後は、順番に蔵のなかを見学しました。内部は、重厚感を残しつつも開放的な雰囲気だったことが印象的でした。

割烹滝川は、市内の老舗料亭としてその歴史を紡いできました。蔵と店舗は東日本大震災で大きな被害を受けたものの、多くの方の協力を得て移築や修繕を行い、現在の姿となっています。

強烈な日差しを受けながらも最後の目的地くららへ。

くららは障がいのある方の作品を展示する美術館として2019年にオープンしました。陶芸や工作のための工房と多目的ホールも併設しており、多種多様な使い方ができる施設です。
オーナーの黒田さんは、作品を作る方々のことや、もともとはたてものの半分だけが蔵だったこと、以前は酒蔵だったことなど、短い時間のなかでたくさんのお話しをしてくださいました。「美術館くらら」では、作品をつくる方々の思いや創作活動をサポートする黒田さんの熱意を感じることができました。

最後にくららをバックに記念撮影。

最高気温が30度を超えたなかのまちあるきでしたが、参加者の方から、新たな発見があった、また開催してほしいといったお声をいただき、有意義な時間を過ごすことができました。
ご参加いただいたみなさん、改めてありがとうございました。